SESという名の人売りビジネス

確実に毎月一定の売上げ

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IT業界に蔓延しているSESの中小企業。
自社での作業はほとんど無く、他の会社に出向する形で作業するいわゆる特定派遣の形態です。
2018年の9月が遂に特定派遣の廃止が迫る中、未だに中小企業の特定派遣から一般派遣への切り替えは進んでいないと言います。
2018年9月になってみんな一般派遣に切り替えるか社内での作業に切り替えるのでしょうか?

 

IT業界の常識となっている偽装請負

もちろん中小企業がそう簡単に経営方針を切り替えられる訳がありません。
一部の中小企業は頑張って社内作業や一般派遣に切り替えようとしていますが、大半のSESの中小企業は今現在続けている偽装請負や違法派遣の形態を続けていくと考えられます。

特定派遣などであれば出向先の指揮の下に作業をするため、指揮権と責任が出向先にあります。しかし、IT業界では実質派遣の形態なのに請負や準委任の契約形態で出向先の指揮下で作業する形が常態化しています。

恐らく9月以降も状況は変わらない

想定されるのは、特定派遣が廃止になった9月以降も偽装請負などの形態で何も現場状況は変わらないで行くと予想されます。
電通の過重労働の事件のように大々的に摘発でも無い限り状況は変わらないでしょう。
そもそもグレーゾーンでは無くブラックな状態で経営している組織がまっとうな組織に変わるとは考えづらいところがあります。

 何でSESは良くないの?

正しく派遣契約を結んでいれば良いのですが、蔓延している艤装請負などの契約の場合大抵が準委任で月あたり140時間〜180時間の時間契約のような形で契約をするかたちになると思います。
契約によって下限が160時間になったり上限が200時間やリミット無しのようなものが合ったりします。

そうした場合、下限と上限の間である限り契約した金額は変わらず60万〜90万位の金額が一定額売上げとして上がることになります。
しかし、業務が忙しく上限を超えた場合どうなるか?
上限を超えた場合には超過分を追加精算する形で月々の契約金額に上乗せされる事になります。

もっと働けと言う営業

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例えば180時間の上限出会ったときに220時間の作業時間となった際に75万+超過分と言った形で精算される月がありました。
当時所属していた会社の営業に勤務報告書として提出した際に

「220時間かーもっと働いて売上げ上げてよ」

と言われたことがありました。
220時間であれば月に寄りますが残業時間で70時間くらいでしょうか。
大企業であれば45時間越えで警告、80時間越えで一発アウトな中中小企業ではもっとやれと言うことです。

「お前は何言ってんだ!?」

と当時酷い現場だったため、年上の営業相手に自然にこんな言葉が出てしまいました。

このような感じで、長い時間働けば働くだけ会社の売上げとなる生産性や効率化とは真逆な形が推奨される環境となります。
これが社内開発であれば残業が増えるだけ人件費でコストが増えてしまうのでいかに稼働を少なくするかと努力する健全な企業努力の姿となりますが、まさに真逆の労働環境を悪化させる要因となります。

簡単に稼げるSES・・・しかし経営者だけ

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これだけ労働環境を悪くするSESが何故蔓延しているのでしょうか?
答えは簡単です。
会社として何の努力も無く毎月一定の売上げが上がるからです。
これが受託開発ともなれば企業努力次第で利益増ともなりますが、下手な会社が下手をうって炎上しようものなら大赤字となります。
つまり会社として成長を捨てて保守的に存続していくだけの事を選んだ自転車操業の形態となるわけです。

これでは現場の人は幸せにならないのでは?

そうです。
幸せになるのは人売りビジネスをしている経営者だけで、現場で必死に働いている人は何一つ幸せになることはありません。
はたしてその会社に所属している意味はあるのでしょうか?
どこも同じように人売りビジネスをしているのであれば、どこの会社にいても同じです。
それでいて入社時に「何故弊社を選んだのか?」等と寝言を言う人事がいたりしますが、等の人事で自分の会社の良さを説明できる人はまずいないでしょう。

オリンピックバブル後に崩壊するかも?

タイミングが良いのか悪いのか、2020年のオリンピックに向けて日本ではITバブルが再来し人手不足の状況となっています。
どこの企業も人員の確保に必死になっていて、中小企業のみならず大企業も採用を積極的に行っています。

しかし、2020年以降の案件の先食い状況で良い状況となっているだけで、2020年を越えた当たりで一気にIT業界の衰退が予想されます。

更にAI技術の発展次第では、今までの人の手で行っていた単純作業等が置き換えられて人が不要となる場面が出てくる可能性があります。
そんな状況で生き残るには、個人や会社での価値を世の中に示して認めて貰う事以外にないと思います。

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社会に通用する価値となれば一朝一夕でできるものではありません。
いざ必要な状況になって動き出しても遅いので、先を見据えて今から5年後10年後をキチンと考えている企業のみが生き残り、SESで自転車操業をしていた企業は軒並み潰れていくでしょう。

ハッキリ言って日本のITは世界に通用するものはほぼなくなったと言っても良いくらいです。本気でイノベーションを考えているのであれば、アメリカ等で活躍することを考えた方が良いかも知れないほど日本のIT現場は悲惨な状況に食い荒らされた状況になっています。