IT戦士じゃなくてIT魔術師?

ITの仕事を例えるなら

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戦士ではなく魔術師

IT戦士という表現があったり、体力勝負と思われることの多いIT業界ですが、もちろん長時間労働は体力も使いますが作業そのものは頭をつかう魔術師と言った方が合っている気がします。

一つコーディングをする度にMPを消費し続ける。
もちろんコーディングという魔法を使い続ければMPがゼロになって気絶やダウンしてしまう。
これらはHPの回復と違うので寝るだけでは中々回復しづらい。

長時間作業となれば必然的にMPを消費する量が多くなり、それが続くことで日々回復が間に合わずダウンしてしまう。
そのダウンのタイミングは人によって最大MPが異なったり、消費MPが違ったりするからでしょうか。

体力回復ではないMP回復

休日スポーツや出かけたり仕事から離れて体を動かして、一日の疲労を感じていたとしても十分な食事や睡眠を取れば案外翌日はスッキリとしていたりします。
しかし体をさほど動かさずデスクでPCの作業を長時間続けた疲労は、体を動かした披露と似ているけれど食事や睡眠だけでは中々回復しない疲労です。

頭を使った疲労には休養が大切で、過度に負荷をかけてしまうと回復が間に合わず最後にはMPを使い果たしてダウン、下手をすれば長期療養となって戦線離脱となってしまいます。

人によって違う特性

同じコーディングという魔法でも人によって消費するMPも最大MPも異なり、何回コーディング魔法を使ったらダウンしてしまうか人それぞれとなります。
同じ魔法でも消費MP5の人もいれば10の人もいる。最大MPが100の人もいれば150の人もいる。

人によって違うのに最大MP150で消費MP5の人を最大MP60で消費MP15の人が真似をすれば当然同じように働けるわけもなく、先にダウンしてしまいます。

なぜうつ病となる人が増えている?

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取り巻く情報の高密度化と量が増えていることで一人ひとりにかかる負担が大きくなっていることも要因の一つだと考えられます。
60代や70代が最近の若者は残業くらいで音を上げてひ弱だ、という人もいますが環境が大きく異るのに現実を正確に理解していないとしか捉えることができません。
例えるなら昔は初期魔法を使っていれば良かったかもしれませんが、現代は品質と効率を重視され上位魔法を連発することを求められている感じでしょうか。

そうなれば当然負担は段違いで、一概にひ弱の一言で片付けられないのでは無いでしょうか?

 何のための決まりか?

労働基準法32条 

  • 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
  • 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

 この時間について意味があり理由があるために法として定められているはずです。
決まりごとには何にでも理由があり、意味もなく決まりとすることはほぼ無いと思います。
決まりに沿わないことで悪い影響が出る可能性があるから決まりとして定めている、それが自然じゃないでしょうか?
例えば従業員が出社時間を勝手に遅くしたら就業規則で定められたものと異なりペナルティとなるでしょうが、労働時間を勝手に伸ばすことを(半)強制しても企業にはペナルティになりづらい。
規則は重視されても法は軽視される不思議な国が日本です。

某相撲の事件でも教会内部に話を通さないで警察に通報するとは何事か?と法律よりも規則やこれまでの文化を優先させるような考えの持ち主も驚くことに大勢います。
働き方改革と言って言葉を持ち上げても、そういった悪しき文化に何の疑問も抱かず惰性で何とかなると思っている人々の意識をまず改革する必要がありそうです。

比較的新しい職業であるIT業界が他の業界と同じような働き方ができるのか?正しいのか?それを考え直す時期に来ているのではないでしょうか?

IT魔術師はどうしたら?

現場の最前線で誰よりも先頭を勇敢に戦う方を否定するつもりはありません。
働き方はそれぞれだし、能力もそれぞれ。
バリバリと過酷な環境でも成果を上げて徹夜や長時間労働をこなして行く人は、私から見ても凄いと思いますが、真似はできないと同時に思います。
うつ病になる前は、他の人がこんなに長時間仕事をできているんだから自分もやらねば!という今考えればよく分からない理屈と決心で無理をしていて、結果潰れてしまいました。

先に述べたように最大MPも消費MPも異なる。もしかしたら使える魔法も違うかもしれない?
そんな人それぞれ異なるのに、最大可動の人に合わせて右へ倣え、と言うのは冷静に考えれば無茶な事でした。
人それぞれ得意なことや特性が異なるのだから、そのパフォーマンスを最大限に発揮できる働き方をすべきだった、と今は思うようになっています。

またひと目や評価を気にしすぎていた自分もいて、評価をしてもらうために身の丈以上の無理をしていたとも感じています。
最近では評価を無視してでも自分の身体を優先していこう、と強く考えるようになりました。
IT業界はこれからも人不足になる事は明確で、無茶をしない評価してくれないなら他に自分の良さを評価してくれる所はたくさんあるはず、と考えます。
幸いにも私は非常に柔軟で頭の良い経営者や技術者の方と話をしたり一緒に仕事をする機会があり、この世の中悪いばかりではない、と希望を感じています。