SESという底なし沼

人手不足とSES

f:id:kantoku-web:20181014180442j:plain

今まで現代の人身売買と言ってもいい状況でSESを続けてきたブラック企業がここにきて経営に行き詰まる状態が多々見られるようになってきました。
2018年9月の特定派遣廃止でIT業界は一般派遣の許可が必要となったにも関わらず、相も変わらず偽装請負でSESを続ける状況は変わらないのに何が変わったのでしょう?

 使い捨てにできる人材がいなくなった

不景気+派遣(偽装請負含む)でどんなに酷い労働環境であろうとも人材を使い捨てにして、入れては逃げられ入れては逃げられを繰り返す自転車操業がSES業界で一般化していました。
そんな状況であっても経験のある技術者も採用できたし応募もしてきた状態でした。

しかし、現在では景気も回復してきた上に人材が不足する状況が明確になってきました。
景気の回復はここでは記述しませんが、人材の不足は何故起きているのか?

人口が減少傾向にある

不景気の影響であったり現代人の結婚率の低下など複合的な要因もありますが、出生率の低下が経済に影響しだしたタイミングがまさに今のタイミングなのでしょう。
この傾向は加速していくので、時間が経過するほどに人手不足が加速するでしょう。

IT業界のイメージダウン

新3Kなどと言われるのを始め、不夜城デスマーチなどネガティブな話ばかりが行き交う状況が続いたため、学生へのIT業界のイメージダウンが激しく、進んでIT業界を目指す人の数が減っているようです。
そのため若手で安い単価で使い捨てにしていた人材が確保できなくなり、経験者で単価が高い人が多くなり、乞客は安い単価で使い捨てにできる人材を確保できなくなっている状態です。

つまり単価の高い経験者はいるけれど、使い捨てにできる単価の安い若手が不足している状態です。

f:id:kantoku-web:20180109004654j:plain

 

今のSESの経営は

受託開発のイメージ定着

特定派遣が始まってから起業した組織も多々あるでしょうが、以前は受託開発をしていてSESに移行した組織も多々あるでしょう。
受託開発の方がやり方次第では利益も上げられる上、組織内にノウハウを蓄積することができ、組織として成長することが可能です。

一方受託開発では技術者のスキル不足や管理者のスキル不足などで痛い目を見るケースも少なくなりません。
乞客が無茶を言い、その言いなりになっている多重下請け構造により弊害が大きな要因となることが多かったですが、それにより受託開発はハイリスク・ハイリターンのイメージがついてしまいました。

楽なSES経営

ハイリスク・ハイリターンな受託に対して大きな利益は得られませんが、毎月一定の決まった売り上げを作ることのできるSES。
経営者とすれば安定して経営ができるので努力もせずに組織運営ができるわけです。
売りに出す人を増やすだけで売り上げが上がるわけですから、やることも単純になってきます。

社員に逃げられるSES経営

自分の会社にいることなく外の会社に売りに出されている社員。
最終的には所属する会社の魅力や価値を見出せなくなり、他へと移っていくパターンが多くあります。
結局売りに出されるのが変わらなければ環境を変えるという理由で会社を移るケースが増えてくるわけです。

特に景気の良くなったここ数年でSESから足を洗い大企業へ移ったり社内SEになったりとSESから離れやすくなった環境もあり、より人材が確保できなくなってきました。

これからのSES経営

f:id:kantoku-web:20180308004540j:plain

技術者に逃げられ、新たに人材を確保できないSES経営は間違いなく縮小していきます。
今や技術者の採用もできず、他業種からの未経験者や訳ありの人ばかりが就職が楽なIT業界に来る状態となっています。
当然技術者として未熟、下手をすれば社会人として未熟な彼らがSESの駒として使われることに耐えられるわけもなく数か月で去っていくケースが多くみられます。

スキルのある技術者を失った組織がもはや受託開発に復帰することもできず、確かな終わりの見えているSESに縋り付いて当面を生き延びることだけを考えている状態です。

そんな状況だからこそ技術者は自身のスキルを磨き、SES経営の会社が潰れたとしても生き残る道を確保すべき状況が来ているようです。