技術力を失ったシステム会社≒SES会社

システム開発の会社とは?

f:id:kantoku-web:20180103121521j:plain

一般的にシステム開発の会社と聞くとどのような印象を持っているでしょうか?

プログラムを書くエンジニアがパソコンに向かってプログラムのコードと睨めっこしているイメージでしょうか?
はい、実際にシステムを構築しているフェーズではプログラムのコードを書き、テストを行う作業は今でも変わらず行われています。
実際には家を建てる工程に似ていて、図面を引くように設計をする人や、間取りや設備を客に説明するように要件定義をする人、家が建った後に電気設備の検査をするようにテストをする人など、プログラムを書く以外にも様々な専門知識が必要な作業があります。

はい、本来システムを作るということは専門職であって、システム会社は専門技術を持った従業員が所属する組織というものです。

 技術力の提供とは?

「昔は受託開発をしていたけど、途中からSESにシフトしたよ」

という会社が少なくないこの頃。
実際にはSESという言葉が広まる以前から数人チームで開発支援という形で他企業の開発に参加するという事はありました。
延べ人数数千人といったような大規模開発となれば一社だけで技術者を抱えられるわけもないので、多数の会社が技術協力として参加することは珍しくありませんでした。

しかし、今のSESの業界の大半のケースと異なるのは"技術協力をする"という点です。
システムを構築する上で専門技術をもって協力する、という点が大きく異なっています。
もちろんSESの中でも高い技術力を持って作業されている方もいますが、技術力を持たなかったり素人な人間の割合が年々増えている状況です。

技術力を持っている人は?

高い技術力を持っている方の中では大企業のプライム開発に移ったり、自社でソフトやサービスを持っている会社に移ったりと、会社そのものに存在価値のあるところに移る方もいます。
責任が軽いという点でSES会社に残る方もいますので、一概にSESに所属する人に技術力がないとは言えない点は押さえておいてください。

技術力のない人は?

最近の中小規模のSES会社に応募する人たちの傾向ですが、他業種で問題があってITに移ってきた人。フリーターを続けてきたけど正社員になりたいので就職しやすいSES会社に応募した人。
のように開発経験のある人の採用は難しくなっています。
恐らくSESでの扱いに嫌気がさしていたり、どうせSESならどこの組織でも一緒だから給与の良いところにしよう、といったところでしょう。
はっきり言ってSESメインで経営している会社になんの魅力があるのでしょうか?
応募する人も志望動機をどう書いているのか気になりますが、人手不足の今日では採用する企業も書類で落とすような余裕もないのでしょう。

技術力を失うSES会社

昔は受託開発をしていたけど、SESにシフトした企業と冒頭で書いた件について、10年近く経営を続けている企業であるとよくある話だと聞きます。
日本のIT企業の9割がSESなどと言われていますから、自然なことでしょう。

しかし、一度SESに手を染めてしまった企業はこの先数年でバタバタと潰れていく未来が見えています。

技術者の流出、採用できない現実

まずSESをメインとする企業には何の魅力もない。
この点で技術力のある人はその企業にいる意味を見いだせずに他社へと移っていく流れがある事。
そして、新たに欠けた人員を補充しようにも今までのように経験者の採用はできない状況になっている事。
つまりSESに手を染めると、技術者を失い未経験者が増えていく悪循環を止められなくなる状態になります。

受託開発が困難になる

受託開発となれば、スケジュールから要件定義、設計、開発、テストと開発力だけではなく管理能力も要求されます。
ただでさえSESが広まる前のSIer主流の事態でも管理力の不足からデスマーチといった炎上案件が多発していたのですから、素人ばかりのSES企業がいまさら受託開発に戻るというのは難しいでしょう。
何せ管理力以前に開発力がないのですから、どちらにしても受託開発は難しいでしょう。

終焉まで自転車操業を続ける

何か打開策をとらずに従業員が辞めては素人を採用を続けていくのであれば、そのSES企業は確実に先細って行くでしょう。
案件に対して技術者が多かった時代に技術者を使い捨てにしていたツケが回ってきたというところでしょうか。
今や中小企業が採用するのは開発を全くやったことの無い人や30歳近くで社会人が初めてといった人などで、仕事と言ってもサポートセンターや決められたテストを機械のように実施するだけ、などと技術者とは程遠い何でも屋と言った状況になっています。

本気で改革したいなら

受託開発をできるように管理力のある人間と開発力のある人間を採用して、社内で技術力を学習する仕組みを作り素人でもある程度開発力が持てるようにするのが唯一の生き残り方法でしょう。

技術力のない会社がシステム会社を名乗ってSESを行うという詐欺のような事は今後通用しません。
そして、能力のある人間を採用するにあたり今までのような低待遇で来てくれるなどという勘違いを今すぐやめるべきです。
そして、今すぐ会社をたたむべき組織は、右から左へ人を人身売買のように横流ししてマージンだけ盗ろうとする組織でしょう。
商流のような言葉が平気で横行するようなマージンだけ盗って不労所得で利益を得ている組織は存在価値がありません。

恐らくは大半の会社は改革することなく潰れていくと考えられます。
そうして少しでも日本のIT業界が浄化されてくれれば良いのですが。