アットホームという表現
求人の表現における「アットホームな職場」
ブラック企業を判断するキーワードと言われるくらい悪い表現となっている「アットホームな職場」。
なぜか未だに求人情報に頻繁に見かける不思議な状況。
そういえばいつ頃からこのワードを見かけるようになったのか気になり調べてみることにしました。
既に10年前から使われている様子
一時期のブラック企業指標と認知されだしたピークよりは少ないものの、10年くらい前の求人でも使われていたり、似たような表現がされていたようです。
他にも、「風通しの良い社風」等と使われだしたのも興味深いです。
しかし、爆発的に増えだしたのはIT業界で特定派遣が広がりだした事とリンクしているようです。
なんでアットホームと表現する?
特定派遣が日本のIT企業の9割まで浸食するにあたり、「そもそも社内に社員がいない」という状況になっています。
従業員は常に他の会社に(偽装)派遣されて仕事をするわけですから、自分の所属する本社に行く理由がないわけです。
そうなれば、おのずと従業員は「自分がその会社にいる必要はあるのか?」という結論に達するわけで、給料の良い会社に移ろうとすることになります。
どこに所属しても他の会社に放っぽり出されるのですから、同じ事なら賃金的待遇の良いところに、という意識になります。
そうなると困るは低賃金で使い倒そうとしている経営者。
でも給料を増やすことはできないから、精神論で「君はうちの会社では家族同然なんだよ」と言いくるめようとするわけです。
賃金という待遇を準備できないので精神論で丸め込もうとする苦し紛れの表現というわけです。
なんで急激に増えた?
SESと表現しても結局は偽装請負の人身売買で薄利多売な経営方法です。
努力で月々の利益や売り上げが増えるわけではなく、とにかく大量に商品となる人を仕入れて他社に売り飛ばすことでしか利益を生み出せません。
SESでも多重派遣などの違法行為は頻繁に行われるわけで、なおさら利益など生み出せる環境にあるわけがありません。
賃金を上げるなどSESの経営ではもっての外な自転車操業ですから、「アットホームな職場」「風通しの良い社風」などと精神論で会社アピールをするしかないわけです。
アピールすることがないSES会社
SES会社が他社との違いなんてある?
SESなんて結局は人身売買で、SESをやっている会社の違いなんて会社規模と業界での名の知れ渡り具合でしか差別化できません。
自分の会社をアピールしようにも他社と違うことをやっているわけでもないので何もアピールできないわけです。
SES会社の経営者が何を自負して会社経営しているのかは理解したくもありませんが、求人の担当をさせられている人間が自社の良い点など見つかるわけもなく苦し紛れによく見るフレーズを真似している、といった流れなのでしょう。
これからの表現
ブラック企業の代名詞ともいえる「アットホームな職場」。
さすがに評判が悪すぎるとようやく気付いたのか、最近ではその表現が減りつつあります。
しかし現場の実態はIT業界の特定派遣が廃止になったにも関わらず、偽装請負のSESは続いているので何一つ状況は変わっていません。
変わらない実態に対して今後はどんな表現をしてくるのか?
これはこれで興味はありますが、くれぐれもIT企業を選ぶ際はご注意を。